熊本県宇城市などで震度7を観測した7月28日の地震では、多くの住民が避難生活を送っている。建物の倒壊など地震そのものによる被害だけでなく、専門家が懸念するのが「災害関連死」だ。避難生活や生活環境の悪化によって体調を崩し、命を落とすケースは過去の災害でも繰り返されてきた。特に今回は夏の暑さが重なることで、リスクはさらに高まる可能性がある。

 【写真】35度超え…猛暑の中の避難所の様子

 災害時の要配慮者支援を得意とするNPO「災害救援レスキューアシスト」の中島武志代表は28日の地震発生直後に奈良県を出発し、29日朝に宇城市へ入った。障がい者施設3カ所と高齢者施設1カ所に支援物資を届け、30日も各施設へ要請に応じて物資を搬送する予定だという。中島さんは、2024年の能登半島地震直後と比べると主要道路の被害は比較的小さく、物流は数日で一定程度回復するとの見方を示す一方、こう指摘する。 「停電が続く施設がありますし、水道が出ても濁っていて飲めない地域が多い。給水車は来ていますが、ポリタンクなどの容器が不足しています。高齢者施設や障がい者施設は避難所とは違い、公的な支援物資が自動的には届きません。ガソリン不足で職員も施設を離れられず、(高齢者が食事を食べやすくするための)刻み食やとろみ剤など、一般の施設や避難所とは違う物資も必要になります」  中島さんは今後数日はこれらの施設への物資支援を続け、その後は避難所運営支援などに取り組む予定だという。そして、こう続ける。 「これまでの災害では初期の急激な環境の変化で急病になられる方のほか、中長期的にもストレスで体調を崩したり、場合によっては自死されたりする関連死が多く発生してきました。今回は夏場の酷暑もありますし、いかに関連死を防げるか正念場です」  災害関連死とは、建物の倒壊や津波など災害そのものによる直接死ではなく、避難生活による体調や持病の悪化など、災害に起因して亡くなることを指す。2016年の熊本地震では直接死50人に対し、関連死はその4倍超となる225人(2025年4月時点)に上った。2024年の能登半島地震でも直接死228人のほか、今年7月9日時点で516人の関連死が発生している。